43Φの正立フォークとしては、非常に汎用性が高く周辺パーツ(三つ又、キャリパーブラケットなど)も多く発売されているOHLINS正立フロントフォーク。ただ、残念なのが性能までは汎用性が高い訳ではありません。ここで言う性能とはそのバイクに合ったスプリングレート、減衰特性、油面のことです。
今回ご用命頂いたバンディット1200もZRX1200用が流用され、スプリングは9.5N/mmに、油面も上げてありすでに変更が施されていました。オーナー様はそれでも満足いくまでのものにはなっていないと言う事で、ご相談を受けました。
色々と手を加え初期設定よりは断然良くなったようですが、それでも約24万円の価値に匹敵するものではないと… 実際に試乗させて頂くと、フロントのダイブスピードが速く、プリロードもかなりかかっているので有効ストローク量も確保できていません。OHLINS正立フォークのウィークポイントでもあるプリロードをかけていくと有効ストローク量が減少する構造上しょうがないのですが、ふとヒラメいた方法で今回は製作しました。スプリングのレート、圧減衰の特性、そしてスプリングの長さも変えてみました。これが見事にハマり、僕が描いていた正立フォークの動きが実現しました。完成したこのバンディット1200の動きが、しばらく僕のベンチマークになります。オーナー様の『全てお任せします』の一言から生み出された記念すべく新スペック。オーナー様、ありがとうございました!
舟橋 潤