ここ数日の間に、4ストミニバイクの純正フロントフォークをサーキット用に仕様変更のご依頼で立て続けにApe100用とKSR110用を作業しました。Apeが正立フォーク、KSRが倒立フォークと形式が違うものの、構造がシンプルな点で共通するものがあったので、本日の題材にしました。『構造がシンプル』と言うと、何だか作業も楽なように捕われがちですが、これがとんでもない勘違い。本当にいい動きを出そうとすると本当に重箱のすみを突く作業になります。例えるなら、最高に美味しい塩おにぎりを作る様なものです。
ただの塩おにぎりを作るなら誰にでもできるものですが、ポイントは『最高に美味しい』という部分に集約されます。何か具を使ったり、せめて海苔を使っていいなら悩まないのですが、何て言っても材料はお米と塩だけですから… 当然、いいお米といいお塩を使うことは大前提として、お米の炊き方、お塩の配分、食べやすいサイズ、形、そんな重箱のすみを突くのと似てるように感じました。
フリクションの出ないシールの組み込み方、オイルの粘度選び、絶妙な油面などなど、何度も何度も同じことを方法や材料を変え試しながら製作した2セット。果たして食する方に『最高に美味しい』塩おにぎりと感じて頂けたかな? 塩おにぎりからフランス料理まで、何でも『最高に美味しい』ものを作れるシェフのようになりたいです。
舟橋 潤